ベトナム自動車産業(yè)は市場拡大に期待、EVや裾野政策は手探り続く
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2023-07-22 17:58
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ベトナムの自動車市場は、経済成長に合わせて、今後もさらなる拡大が見込まれる。政府は國內(nèi)の自動車産業(yè)の成長を加速させたい考えだ。同時に、世界的な脫炭素化の潮流を受けて、電気自動車(EV)の導(dǎo)入促進(jìn)を目指す方針も打ち出している。しかし、現(xiàn)狀は自動車産業(yè)政策が民間投資の十分な誘因になっているとはいえず、それに加えて、急速なEVシフトが掲げられたため、企業(yè)にとっては投資判斷が難しい狀況といえる。ベトナムの自動車産業(yè)の狀況を振り返った上で、EVシフトに向けた政策と企業(yè)の動向をみていきたい。
成長途上の自動車市場
ベトナムの新車販売臺數(shù)は、2022年に50萬臺に到達(dá)した(注1)。市場規(guī)模はASEAN域內(nèi)ではインドネシア(105萬臺)、タイ(85萬臺)、マレーシア(72萬臺)に次ぐ4番目となる(注2)。ベトナムでは二輪車(バイク)の普及率が156%なのに対し、四輪車(自動車)は5%にとどまる。1人當(dāng)たりGDPは2022年に4,000ドルを超え、モータリゼーションが進(jìn)む段階にあるものの、自動車の普及率に急激な拡大は見られない。その背景としては、自動車の購入価格が高いことが挙げられる。ベトナムでの自動車販売価格には、車両価格に特別消費(fèi)稅、付加価値稅、自動車登録料が上乗せされる。また、裾野産業(yè)を含めた國內(nèi)の自動車生産基盤が十分に確立されておらず、車両本體や部品を輸入に依存している割合が高いため、輸送関連コストも上積みされ、タイやインドネシアと比べると、購入価格が高くなる構(gòu)造になっている。
それでも、ベトナムの新車販売臺數(shù)は、2014年から2022年までの間、新型コロナウイルス感染拡大期を含め、年平均16%程伸びている(図參照)。人口も増加しており、2023年內(nèi)に1億人を超える予測が示されている。國民所得も右肩上がりで、消費(fèi)者層の購買力拡大が見込まれることから、ベトナムは自動車販売拡大の潛在性が高い市場といえる。
國內(nèi)生産と輸入のバランスに揺れる自動車産業(yè)
ベトナム國內(nèi)の自動車組み立て(生産)臺數(shù)は、2022年に約44萬臺となった(注3)。ASEAN域內(nèi)では、タイ(188萬臺)、インドネシア(147萬臺)、マレーシア(70萬臺)に次ぐ4番目の規(guī)模だが、タイおよびインドネシアとベトナムでは3倍以上の開きがある(注2)。ベトナムで國內(nèi)生産拡大がなかなか進(jìn)まない背景には、市場規(guī)模がまだ小さく、裾野産業(yè)が脆弱(ぜいじゃく)なことが挙げられる。國內(nèi)の新車販売臺數(shù)が限られるため、設(shè)備や部品調(diào)達(dá)などでスケールメリットを生かした生産ができていない。自動車部品メーカーの集積も進(jìn)んでいないため、輸入に頼らざるを得ず、生産コストを抑えるのが難しい狀況だ。とりわけ、日系の自動車関連會社はタイやインドネシアに既に集積しているため、それらの拠點(diǎn)から自由貿(mào)易協(xié)定(FTA)を活用の上、完成車や部品をベトナムに輸入した方がコストを抑えられるケースが多い。ベトナムは多くの國?地域とFTAを締結(jié)しており、今後は環(huán)太平洋パートナーシップに関する包括的および先進(jìn)的な協(xié)定(CPTPP、いわゆるTPP11)やEUベトナム自由貿(mào)易協(xié)定(EVFTA)の活用で、日本や歐州からの完成車輸入の関稅が引き下げられる點(diǎn)も考慮しておかなければならない。
ベトナム政府は國內(nèi)の自動車産業(yè)を支援すべく、裾野産業(yè)への投資優(yōu)遇を設(shè)けている。自動車部品を製造する投資案件に対しては、法人稅の減免措置などが適用される。また、自動車メーカーに対しては、國內(nèi)生産できない自動車部品の関稅を免除する優(yōu)遇策を用意している。しかし、優(yōu)遇措置の適用條件が厳しく活用できていない企業(yè)もあるなど、多くの投資を呼び込む要因になっているとは言い難い。
そのほか、政府は自動車産業(yè)支援のため、輸入車への品質(zhì)検査の強(qiáng)化や、新型コロナ流行下で國內(nèi)生産車への自動車登録料の免除などを?qū)g施してきた。しかし、自由貿(mào)易の原則の下、一方的な國內(nèi)生産車優(yōu)遇の実施には限度があり、抜本的な自動車産業(yè)の育成支援には至っていない。
それでも、ベトナムの自動車市場拡大を見越した企業(yè)側(cè)の動きはみられる。チェコのシュコダ?オートは2022年10月、地場のタインコングループと提攜し、北部クアンニン省で自動車を生産する計畫を明らかにした。2024年にスポーツ用多目的車(SUV)の生産を始め、國內(nèi)外に供給する予定だ。また、韓國系の合弁會社ヒュンダイ?タインコンは、2022年11月に北部ニンビン省で第2工場を稼働し、年間生産臺數(shù)を最大18萬臺まで引き上げた。同工場では電気自動車(EV)の製造も計畫している。さらに、地場のチュオンハイ自動車(タコ)グループは、起亜やマツダなどのブランド車を生産しているが、近年は自動車部品の製造も強(qiáng)化している。日系では、目立った追加投資の動きはみられないものの、ベトナム市場の傾向を踏まえて、投入モデルを調(diào)整するケースがある。例えば、トヨタは現(xiàn)地で需要拡大が見込まれる小型多目的乗用車(MPV)の「アバンサ」と「ベロズ」について、2022年から新たにベトナムでの生産を開始した。三菱自動車は小型SUV「XFC」のコンセプトモデルを他國に先駆けてベトナムで披露した。當(dāng)面はインドネシアからの輸入となるが、將來的にはベトナムでの生産も検討している。
政府は脫炭素目指してEVシフトの方針
自動車産業(yè)が発展途上にあるベトナムだが、EVシフトの議論も並行して進(jìn)んでいる。2021年11月の國連気候変動?xùn)樈Mみ條約第26回締約國會議(COP26)首脳級會合で、ベトナムは2050年までに溫室効果ガス(GHG)排出量実質(zhì)ゼロを目指すと表明した。これを受け、政府は急ピッチで産業(yè)ごとの削減計畫を立てている。自動車に関しては、ガソリンやディーゼルを燃料とする內(nèi)燃機(jī)関車から、走行時の二酸化炭素(CO2)排出を削減できるEVへのシフトを主要な対策として掲げた。
ベトナムのEVシフトの道筋について、ベトナム自動車工業(yè)會(VAMA、日系を含む17社の自動車メーカーが加盟)は2021年9月に、2050 年までの期間を3段階に分けたEV普及計畫を公表し、緩やかなEVシフトを提案した。この計畫では、2030 年までの第1段階は、國內(nèi)自動車産業(yè)の成長を優(yōu)先し、內(nèi)燃機(jī)関車とEVが共存するかたちで、自動車全體の生産臺數(shù)を年間100萬臺まで増やす。2030 年以降はEV が自動車産業(yè)の成長を力強(qiáng)くリードする時期と位置づけ、第2段階の2040年までにEV生産を年間350萬臺、第3段階の2050年までに年間400萬~450萬臺にするとした。
一方、政府は2022年7月に発出した首相決定876號で、2040年には內(nèi)燃機(jī)関車の國內(nèi)生産と輸入を停止し、2050年には內(nèi)燃機(jī)関車の走行をゼロにする目標(biāo)を掲げた。ベトナムの自動車業(yè)界関係者によると、1つのモデルを開発?生産?販売する上で、利益を上げるには通常6~10年間の販売期間が必要で、2040年に內(nèi)燃機(jī)関車の生産ができなくなる場合、2030年ごろには內(nèi)燃機(jī)関車以外の生産に切り替える決定をしなければならず、影響が大きいという。國內(nèi)市場の拡大は期待できるものの、この目標(biāo)どおりにEVシフトが迫られると、內(nèi)燃機(jī)関車向けの新規(guī)投資に踏み切りづらい狀況ともいえる。
また、直近では燃費(fèi)規(guī)制の導(dǎo)入をめぐり、政府と産業(yè)界での議論が白熱している。自動車業(yè)界関係者によると、政府は2027年から燃費(fèi)規(guī)制を設(shè)ける案を挙げたが、現(xiàn)行案では非常に厳しい數(shù)値が設(shè)定されているという。また、歐州や中國のようにメーカーごとの平均燃費(fèi)規(guī)制(CAFE規(guī)制)ではなく、モデルごとの燃費(fèi)規(guī)制となっている。産業(yè)界からは、現(xiàn)行案のままだと自動車価格が上昇し、自動車販売の減速と自動車産業(yè)の停滯につながるという危機(jī)感を訴えている。これは政府の稅収にも影響する問題でもあり、VAMAをはじめ自動車業(yè)界が連攜して政府への改善を要求している狀況だ。
EVへの優(yōu)遇策、拡充に期待
EVシフトを進(jìn)めるに當(dāng)たり、ASEAN各國でEVの販売と生産に対する稅優(yōu)遇や補(bǔ)助金の適用や検討が進(jìn)んでいる。ベトナム政府は2022年3月からEV購入時の特別消費(fèi)稅と自動車登録料の減免措置を?qū)毪筏?。特別消費(fèi)稅は、9人乗り以下の內(nèi)燃機(jī)関車の場合、排気量に応じて車體価格の35~150%が課せられ、自動車販売価格を押し上げる主な要因となっている。一方、同カテゴリーのバッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)に課される特別消費(fèi)稅率を2022年3月1日から5年間は3%に引き下げ、5年経過後の2027年3月1日からは11%を適用するとした(表1參照)。
自動車登録料は、特別消費(fèi)稅や付加価値稅を加えた本體価格に乗じて徴収される。9人乗り以下の乗用車に対する新規(guī)登録料は原則10%。これがBEV、PHEVの場合、2022年3月1日から3年間は免除になった。3年経過後の2025年3月1日から2年間は、內(nèi)燃機(jī)関車の半額相當(dāng)に減額する(表2參照)。これらを踏まえ、仮に課稅前の車體価格が400萬円のガソリン車とBEVを比べると、2022年3月に購入する場合、BEVは特別消費(fèi)稅と自動車登録料の減免によってガソリン車よりも購入費(fèi)用が200萬円ほど抑えられることになる。
項目 | BEVおよびPHEV | ガソリン車など 現(xiàn)行 |
|
---|---|---|---|
2022年3月~ 2027年2月 |
2027年3月~ | ||
9人乗り以下 | 3% | 11% | 35~150% |
10~15人乗り | 2% | 7% | 15% |
16~23人乗り | 1% | 4% | 10% |
貨客兼用 | 2% | 7% | 15~25% |
注:ガソリン車などの9人乗り以下と貨客兼用は、排気量によって稅率が変わる。
出所:特別消費(fèi)稅の改正にかかる法律106/2016/QH13、法律03/2022/QH15を基にジェトロ作成
項目 | BEVおよびPHEV | ガソリン車など 現(xiàn)行 |
|
---|---|---|---|
2022年3月~ 2025年2月 |
2025年3月~ 2027年2月 |
||
乗用車の自動車登録稅 | 0% | 5% | 10% |
注:自動車登録料は原則10%だが、各省?市の人民委員會によって上限15%まで調(diào)整可能。
出所:政令10/2022/ND-CPを基にジェトロ作成
自動車や主要部品の製造に対しては、2015年の政令111號(111/2015/ND-CP)に基づき、法人稅の減免措置が適用され得る。通常20%の法人稅率は、売上高を計上した年度から15年間は10%に引き下げられる。同時に、課稅所得を計上した年度から4年間は免稅、その後の9年間は50%の減稅が適用される。これ以外にEV関連の生産面に特化した恩典はないが、計畫投資省産業(yè)局の自動車産業(yè)擔(dān)當(dāng)者によると、政府內(nèi)で現(xiàn)在検討が進(jìn)んでいるという。なお、自動車業(yè)界関係者からは、政府は恩典によって中國のEVメーカーが攻勢をかけるのを警戒している面もあるのではないかとの意見も聞かれた。
ベトナムでは同様に、EV用の充電ステーションの設(shè)置など、インフラ整備に対する恩典も定められていない。政府には投資環(huán)境の整備や恩典を求める企業(yè)の聲も屆いているが、この分野に関する政府の方針が定まっていないため、具體的な恩典などの議論に進(jìn)めていない狀況だという。また、EVシフトを後押しするため、政府內(nèi)では輸送手段に対する炭素稅導(dǎo)入の検討も進(jìn)んでいるという。
EV販売とインフラ整備、ビンファストが単獨(dú)で進(jìn)行
このように、ベトナムはEVシフトを進(jìn)める方針を示しつつも、EV販売時の優(yōu)遇措置以外では具體的な政策を定めていない狀況だ。そのため、EVの輸入販売を始める動きはあるが、外資企業(yè)はベトナムでの生産など積極的な投資には踏み切れていない。このような狀況下、ビンファストはEVへの大型投資を進(jìn)めている。同社は、不動産事業(yè)を主體とする地場大手複合企業(yè)ビングループの子會社として設(shè)立され、2019年からベトナム北部ハイフォン市內(nèi)の工場でガソリン車の生産を開始した。2021年3月にはBEVの受注を開始し、同年12月から納車を始めた。2022年1月にはガソリン車の生産を停止すると発表し、同年半ばからEV生産に一本化した。有力な外資企業(yè)との提攜を進(jìn)めるとともに、2021年12月には中部ハティン省でグループ會社がEV用のバッテリー工場を著工した。また、ビンファストは國內(nèi)だけでなく、國外でのEV販売も念頭に置いた戦略を展開している。特に米國向けには、輸出を開始しており、現(xiàn)地生産の計畫も進(jìn)めている。
ビンファストによると、2022年末までの約1年間で販売?納車したBEV臺數(shù)は7,165臺だった。半導(dǎo)體不足やサプライチェーン寸斷の影響も見られたが、ベトナム自動車市場でのBEVのシェアは1%ほどだと推察される。BEVの販売?購入に対する政府の優(yōu)遇策の恩恵を受けつつ、獨(dú)自のプロモーションを?qū)g施することで、販売価格を抑えている。それでも、自動車業(yè)界関係者からは、現(xiàn)狀のEV購入者は実用性を踏まえて、ガソリン車を既に所有している人(2臺目以降のニーズ)に限られるとの聲も聞かれ、EV普及には時間がかかる見込みだ。ベトナムはこれから初めて自動車を購入する層が増える段階にある。長距離移動を含め、さまざまな用途に対応できる自動車が求められるため、1臺目からEVを購入する需要者を確保するの簡単ではない。
充電ステーションの整備も課題だ。政府によるインフラ整備の方針や支援策が見えないまま、ビンファストは自前の充電ステーションの設(shè)置を進(jìn)めている。ビングループの関連不動産(マンション、商業(yè)施設(shè)など)、高速道路のサービスエリアなどへの設(shè)置を中心に、2022年中に全國63省?市に15萬基が設(shè)置されたという。さらに、ビンファストは2023年2月、バッテリー充電器を搭載した専用車を投入し、EVの充電と修理サービスを開始すると発表した。同年6月までに専用車100臺を?qū)毪贰ⅴ旦`ビス対象地域を全國63省?市に拡大する計畫だ。
自動車産業(yè)の発展に向け、段階的なEVシフトが必要
ビンファストが全國規(guī)模で充電ステーション設(shè)置を進(jìn)める中、ベトナムとしての標(biāo)準(zhǔn)規(guī)格が定まっていないという問題もある。政府は後追いで標(biāo)準(zhǔn)規(guī)格を策定している狀況で、その規(guī)格が決まらない限り、自動車メーカーもEV導(dǎo)入に向けた戦略を立てにくい。ビンファストの充電ステーションは現(xiàn)在、自社EVにのみ対応した仕様となっているため、そのまま他社のEVが活用することはできない。ビンファストとの連攜で將來的に他社のEVが利用できるようになる可能性はゼロではないが、現(xiàn)狀は極めて不透明な狀況だ。このような問題の解決のためにも、政府によるEVインフラ整備促進(jìn)の政策が早急に求められる。
また、段階的にEVシフトを進(jìn)めていく現(xiàn)実的な政策も必要だ。前述のとおり、急激なEVシフトは國內(nèi)の自動車市場の成長を鈍化させ、自動車関連産業(yè)に悪影響を及ぼすリスクが高い。BEVとPHEVだけでなく、ハイブリッド車(HV)の導(dǎo)入も含めて、段階的な自動車市場の成長と溫室効果ガス排出量の抑制を進(jìn)めていくという提案がVAMAをはじめとする自動車業(yè)界から挙がっている。政府の擔(dān)當(dāng)部局では、段階的なEVシフトへの理解が少しずつ浸透しており、HVに対する政策も検討中のようだ。交通運(yùn)輸?。∕OT)と商工?。∕OIT)はHVからBEVに転換していく方針について、首相に直接報告しており、首相から各省に検討指示が出ているという。
EVの動力源となる電力の供給についても、見過ごせない點(diǎn)がある。ベトナムの電源構(gòu)成は現(xiàn)在、石炭火力発電に大きく依存している(注4)。將來的に再生可能エネルギーの割合を増やす方針は掲げているが、具體的な計畫策定は難航している。拡大する電力需要との兼ね合いもあり、電源の脫炭素化は早期に進(jìn)むものとは考えられない。環(huán)境負(fù)荷を考慮する上で、自動車に関してはHVを含めた段階的な脫炭素化が現(xiàn)実的だといえる。
脫炭素化に向けた政策と実態(tài)との乖離は、その他の自動車産業(yè)政策でも起きている。政府は排ガス基準(zhǔn)のロードマップを示した2011年の首相決定49號(49/2011/QD-TTg)で、ベトナムで生産?輸入する全ての自動車について、2022年1月からユーロ5適合車にするよう指示していた。一方で現(xiàn)在、ユーロ5に準(zhǔn)拠したガソリンやディーゼル燃料を販売しているのは大都市の一部のガソリンスタンドに限られている。自動車は高い環(huán)境対応を求められる一方、それに対応した燃料の供給ができておらず、事実上、十分な効果を成していない狀況といえる。
このように、ベトナムの自動車産業(yè)政策は、野心的な計畫を描きつつも、実態(tài)に合わないまま走り出してしまうケースが散見される。EVの政策に関しても、脫炭素化の目標(biāo)ありきで、現(xiàn)実的な自動車産業(yè)の発展が考慮されていない面が多い。ベトナムの自動車産業(yè)の発展や産業(yè)競爭力に影響することでもあり、自動車関連企業(yè)が連攜して、政府に改善要望を上げていくことが引き続き重要だ。ベトナム計畫投資省産業(yè)局からは、EVをはじめとする自動車産業(yè)発展に向けて、國際機(jī)関や外國政府からの提言や支援も歓迎するとの発言があった。
EVシフトの潮流は、內(nèi)燃機(jī)関車の生産でタイやインドネシアに遅れをとったベトナムにはチャンスとなり得たが、政策面の出遅れがみられる。EV産業(yè)の誘致に向けて恩典を用意する國?地域は多く、企業(yè)はベトナムでEV関連の生産にメリットを見いだしにくい狀況だ。自動車業(yè)界の関係者からは、タイやインドネシアと同じことをしても負(fù)けるという危機(jī)感を持って臨む必要があるとの聲も聞かれる。一方、ベトナムは今後も自動車販売の拡大が見込まれる有望な市場だ。消費(fèi)者の要望やインフラ整備狀況を踏まえ、HVへの優(yōu)遇を含めた段階的なEVシフトを促していくなど、政府には産業(yè)発展と脫炭素化をともに推進(jìn)する政策が期待される。自動車関連企業(yè)にとっては、政策やビンファストの動向を注視しつつ、市場拡大を見越した調(diào)達(dá)?生産?販売の戦略が重要となってくるだろう。
- 注1:
- ベトナム計畫投資省産業(yè)局の自動車産業(yè)擔(dān)當(dāng)から入手したデータを參照。
- 注2:
- ASEAN自動車連盟の統(tǒng)計參照。
- 注3:
- ベトナム統(tǒng)計総局の速報値參照。
- 注4:
- 2021年の発電設(shè)備容量は、石炭火力が3割以上を占める。発電量は4割以上を石炭火力に依存(2022年3月31日付ビジネス短信參照)。
- 執(zhí)筆者紹介
- ジェトロ調(diào)査部アジア大洋州課
莊 浩充(しょう ひろみつ) - 2010年、ジェトロ入構(gòu)。海外事務(wù)所運(yùn)営課、ジェトロ橫浜、ジェトロ?ビエンチャン事務(wù)所(ラオス)、広報課、ジェトロ?ハノイ事務(wù)所(ベトナム)を経て現(xiàn)職。