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各市場で中國製EVに存在感(アジア太平洋地域)


アジア太平洋(APAC)地域では、タイやインドネシアをはじめ、各國でバッテリー駆動(dòng)電気自動(dòng)車(BEV)市場が拡大している。同時(shí)に、國內(nèi)生産を奨勵(lì)し、BEVを輸出産業(yè)に育てようとする動(dòng)きがみられる。黎明(れいめい)期の國內(nèi)市場を形成して産業(yè)を育成するため、また脫炭素化の観點(diǎn)からも、輸入BEVの導(dǎo)入について優(yōu)遇措置を付與する國が少なくない。

そうしたこともあり、2022年第3四半期(7~9月)以降、中國からAPAC地域へのBEVの輸出が急増している。ジェトロが各國で調(diào)べたところ、中國製BEVが代表的モデルとして受け入れられるようになっている。

中國ブランドのBEVが各國でシェアを獲得

當(dāng)?shù)赜颏扦?022年、各國で電気自動(dòng)車(EV)の販売が拡大した。例えば、當(dāng)域內(nèi)でEV市場として最大のインドでは、四輪EVの國內(nèi)登録臺數(shù)が前年比2.5倍の4萬581臺に上った(2023年2月7日付ビジネス短信參照)。メーカー別にみると、地場財(cái)閥系タタ?モーターズが3萬2,090臺と約8割を占めた。一方で、中國の上海汽車(SAIC)傘下MGモーターが3,414臺(シェア8.4%)、BYDも450臺(同1.1%)だった。中國メーカーが、タタに次ぐシェアを獲得したかたちだ。

オーストラリアでも同年、販売臺數(shù)が伸びた。四輪のBEVとプラグインハイブリッドEV(PHEV)合計(jì)で、86%増の3萬9,353臺だった(注1)。モデル別にみると、テスラの「モデル3」が1萬877臺、「モデルY」が8,717臺と、テスラの2モデルが市場の半分を占める。これに続くのが、BYDの「ATTO 3」で2,113臺が売れた。次に、MGのPHEV「MG HS」1,554臺だった。

BYDの「ATTO 3」(ジェトロ撮影)

東南アジアに目を転じると、インドネシアの四輪BEVの新規(guī)登録臺數(shù)は、2022年に前年比15倍の1萬327臺を記録した。モデル別で圧倒的なシェアを誇るのは、やはり中國企業(yè)の製品だ。五菱汽車(ウーリン)のBEV「エアEV」が8,053臺。実に、全體の78%を占めた。これに続くのが、韓國の現(xiàn)代自動(dòng)車のBEV「IONIQ(アイオニック) 5」で、1,829臺だった(注2)。

エアEV(左)とアイオニック5(右)(ジェトロ撮影)

タイでもEVの躍進(jìn)が確認(rèn)できる。同國の陸運(yùn)局によると、2022年、四輪BEVの新規(guī)登録は9,729臺。前年比で約5倍だった(注3)。モデル別には、長城汽車(GWM)の「ORA グッド?キャット」が3,828臺で全體の39%を占めた。貓をモチーフにした特徴的なデザインで、バンコク市內(nèi)でも頻繁に見かけるようになっている。続いて、MGの「MG EP(ワゴン)」が2,329臺(シェア24%)、「MG ZS」が805臺(同8%)という順だ。

長城汽車(GWM)の「ORA グッド?キャット」
(ジェトロ撮影)

 

上海汽車(SAIC)の「MG ZS」
(ジェトロ撮影)

中國メーカーのBEVが各地代表モデルに

APAC地域に所在するジェトロ事務(wù)所は2023年3月、擔(dān)當(dāng)する各國ごとにEV市場を調(diào)べた(表1參照)。その結(jié)果、地場の活躍ぶりがうかがえる結(jié)果も散見された。例えば、ベトナムでは、地場系ビンファストが最もシェアを獲得している。またインドでは、タタ?モーターズが大きな市場シェアを占有している(前述)。

しかし、地域全體を俯瞰(ふかん)してみると、どの市場でも目立ったのが、中國メーカーのEVだ。

表1:アジア太平洋地域のEV市場
國名 販売?新規(guī)登録臺數(shù) 販売されている主なBEVブランド 販売臺數(shù)の多い代表的モデル(BEV)
タイ EV新規(guī)登録臺數(shù)(2022年)
四輪BEV:9,729臺
四輪HEV:6萬3,568臺
四輪PHEV:1萬1,311臺

國內(nèi)新車販売(2022年)
四輪:84萬9,000臺
日系:トヨタ、レクサス、日産、FOMM、タカノ
中國:MG、GWM、BYD、NETA、BOLT
韓國:現(xiàn)代、起亜
歐州:メルセデス?ベンツ、BMW、ミニ、ジャガー、ポルシェ、アウディ、ボルボ
米國:テスラ
GWM「ORAグッド?キャット」
価格:98萬9,000バーツ(約386萬円)
バッテリー容量:47.8キロワット時(shí)
走行可能距離:337キロメートル

MG「EPワゴンEV」
価格:98萬8,000バーツ(約385萬円)
バッテリー容量:50.3キロワット時(shí)
走行可能距離:380キロメートル
インドネシア EV新規(guī)登録臺數(shù)(2022年)
四輪BEV:1萬327臺
四輪HEV:5,100臺
四輪PHEV:10臺

國內(nèi)新車販売(2022年)
四輪:104萬8,000臺
日系:トヨタ、レクサス、日産、三菱
中國:ウーリン、DFSK
韓國:現(xiàn)代
歐州:BMW、ミニ
ウーリン「エアEV?スタンダード」
価格:2億4,300萬ルピア(約216萬円)
バッテリー容量:17.3キロワット時(shí)
走行可能距離:200キロメートル

現(xiàn)代「アイオニック5」
価格:7億4,800萬ルピア(約665萬円)
バッテリー容量:72.6キロワット時(shí)
走行可能距離:451キロメートル
ベトナム EV新規(guī)登録臺數(shù)(2022年)
四輪BEV:7,080臺(ビンファストの販売臺數(shù))

國內(nèi)新車販売(2022年)
四輪:50萬9,141臺
ベトナム:ビンファスト(VF)
韓國:現(xiàn)代、起亜
歐州:ポルシェ、アウディ
ビンファスト「VF8」
価格:11億3,000萬ドン(約630萬円)
バッテリー容量:82キロワット時(shí)
走行可能距離:420キロメートル

ビンファスト「VFe34」
価格:7億1,000萬ドン(約390萬円)
バッテリー容量:42キロワット時(shí)
走行可能距離:300キロメートル
シンガポール EV新規(guī)登録臺數(shù)(2022年)
四輪BEV:3,589臺
四輪HEV:1萬1,062臺
四輪PHEV:409臺

國內(nèi)新車販売(2022年)
四輪:4萬2,550臺
日系:トヨタ、日産、マツダ
中國:MG、BYD
韓國:現(xiàn)代
歐州:メルセデス?ベンツ、ポルシェ、ボルボ、BMW
米國:テスラ
テスラ「モデル3」
価格:11萬シンガポールドル(約1,130萬円)、新車購入権(COE)含まず
バッテリー容量:60キロワット時(shí)
走行可能距離:491キロメートル

BYD「e6」
価格:15萬シンガポールドル(約1,556萬円)
バッテリー容量:71.7キロワット時(shí)
走行可能距離:522キロメートル
マレーシア EV新規(guī)登録臺數(shù)(2022年)
2,631臺(內(nèi)訳は不明)

國內(nèi)新車販売(2022年)
四輪:72萬658臺
日系:レクサス、日産
中國:MG、GWM、BYD
韓國:現(xiàn)代、起亜
歐州:ポルシェ、BMW、ベンツ、フォルクスワーゲン、アウディ、ボルボ
米國:テスラ
GWM「ORAグッド?キャット」
価格:14萬リンギ(約426萬円)
バッテリー容量:47.8キロワット時(shí)
走行可能距離:337キロメートル

BYD「EPワゴンEV」
価格:15萬リンギ(約456萬円)
バッテリー容量:49.9キロワット時(shí)/60.5キロワット時(shí)
ラオス EV新規(guī)登録臺數(shù)(2022年)
四輪:約1,400臺

國內(nèi)新車販売(2022年)
四輪:約1萬臺
中國:BYD、Geely、NETA
韓國:現(xiàn)代
歐州:フォルクスワーゲン、ジャガー
フォルクスワーゲン「ID4」
価格:3萬8,000ドル(約524萬円)
バッテリー容量:52キロワット時(shí)

BYD「ユエン?プラス」
価格:2萬7,000ドル(約372萬円)
バッテリー容量:50.1キロワット時(shí)
走行可能距離:430キロメートル
フィリピン EV新規(guī)登録臺數(shù)(2022年)
四輪:276臺

國內(nèi)新車販売(2022年)
四輪:35萬2,596臺
日系:日産
中國:BYD、WMモーター
韓國:現(xiàn)代
歐州:ポルシェ、BMW、アウディ、ジャガー
 
カンボジア EV車両登録臺數(shù)(2023年2月時(shí)點(diǎn))
四輪:700臺超
中國:MG、BYD、LETIN、LEVDEO、HONGQI
歐州:BMW、ジャガー、ポルシェ
米國:テスラ
テスラ「モデルY」
価格:10萬8,000ドル
バッテリー容量:60キロワット時(shí)
走行可能距離:435キロメートル

BYD「e2」
価格:2萬8,900ドル
バッテリー容量:43.2キロワット時(shí)
走行可能距離:401キロメートル
オーストラリア EV新規(guī)販売臺數(shù)(2022年)
四輪BEV:3萬3,410臺
四輪PHEV:5,943臺

國內(nèi)新車販売(2022年)
四輪:約108萬臺
日系:レクサス、日産、マツダ
中國:BYD、MG
韓國:現(xiàn)代、起亜、ジェネシス
歐州:ポールスター、ボルボ、メルセデス?ベンツ、BMW、ミニ、ポルシェ、アウディ、ルノー
米國:テスラ
テスラ「モデル3」
価格:6萬900オーストラリアドル(約546萬円)
走行可能距離:547キロメートル

テスラ「モデルY」
価格:6萬8,900オーストラリアドル(約617萬円)
走行可能距離:533キロメートル
インド EV新規(guī)販売臺數(shù)(2022年)
四輪:4萬581臺
三輪:33萬8,621臺
二輪:62萬9,215臺

國內(nèi)新車販売(2022年)
四輪:472萬5,472臺
三輪:64萬559臺
二輪:1,560萬7,991臺
インド系:タタ、マヒンドラ&マヒンドラ
中國:MG、BYD
韓國:現(xiàn)代
タタ「ティゴールEV」
価格:約130萬ルピー(約210萬円)
バッテリー容量:26キロワット時(shí)

MG「ZS EV」
価格:約250萬ルピー(約400萬円)
バッテリー容量:50.3キロワット時(shí)
走行可能距離:充電100%の狀態(tài)で最大306~357km走行可能

出所:運(yùn)輸省など各國の管轄當(dāng)局?機(jī)関の公表情報(bào)を基にジェトロ作成(2023年3月時(shí)點(diǎn))

各國での販売価格をみると、EVは決して安くない。例えばタイでは、ORAグッド?キャットの販売価格は98萬9,000バーツだ(約386萬円、1バーツ=約3.9円)。同國でポピュラーなトヨタの「ヤリス」が55萬9,000バーツから購入可能なことを考えると、大衆(zhòng)車のほぼ倍額と言える。

APAC地域で比較的、低価格で販売されている例としては、インドのタタ?モーターズの「ティゴールEV」を挙げることができる。それでも、1臺が約130萬ルピー(約210萬円、1ルピー=約1.6円)ほどになる。インドネシアでの売れ筋中國車、ウーリンの「エアEV」は、約2億4,300萬ルピア(約216萬円、1ルピア=0.0089円)だ。いずれも日本円に換算して200萬円強(qiáng)になっている。同市場での大衆(zhòng)車価格と比較して約2倍ということも同様だ。

なお、両モデルとも、バッテリーは低容量だ。それぞれ26キロワット時(shí)(kWh)、17.3kWhにとどまる。それでも、エアEVの場合、1回のフル充電で200キロメートル走行可能とされている。しかし現(xiàn)実の利用シーンは、街中で短時(shí)間あるいは短距離だけ乗る、いわゆる「チョイ乗り」などに限定されるだろう。炎天下でエアコンをかけながら走行するには、電力の消耗を覚悟せざるを得ない。渋滯が多く、充電ステーションも十分に整っていないアジアという事情を考えると、なおさらだ。

現(xiàn)地生産の本格化までは、中國製BEVが主流

APAC地域でBEVの現(xiàn)地生産數(shù)は、まだ限られている。しかし、それも2023年~2024年にかけて、各地で本格化していくと見込まれている(表2參照)。

換言すると、それまでは輸入EVの販売が主流にならざるを得ない。そうした中で、各國の市場では中國からの輸入BEVの販売が伸びている。

表2:アジア太平洋地域でのEV生産
國名 EV現(xiàn)地生産の動(dòng)向 現(xiàn)地生産に向けた振興政策
タイ BEVを現(xiàn)地生産している主な企業(yè)
FOMM(日本)小型EV生産
タカノオート(日本)小型商用EV生産
メルセデス?ベンツ(ドイツ)高級セダン「EQS」を現(xiàn)地生産
Mine Mobility(タイ)小型商用EV生産

今後BEVを現(xiàn)地生産予定の主な企業(yè)
上海汽車(中國)2023年より生産開始予定
長城汽車(中國)2024年~
BYD(中國)2024年~
哪吒汽車/NETA(中國)2024年~
ホライゾン?プラス(臺灣)2024年~
東風(fēng)汽車/BOLT(中國)2024年~
長安汽車(中國)2024年~
目標(biāo):2030年に生産臺數(shù)の30%をBEVとする
主な優(yōu)遇措置(優(yōu)遇対象はBEVのみ)
?輸入関稅80%を引き下げ(バッテリー容量に応じて0~60%)
?BEV販売に補(bǔ)助金(7萬~15萬バーツ)を支給。ただし、補(bǔ)助金を活用した販売臺數(shù)分の現(xiàn)地生産を2024年中に求める(2025年になると1.5倍)
?バッテリー、モーター、コンプレッサーなど主要部品の関稅を免除
?バッテリーの現(xiàn)地生産の優(yōu)遇措置を検討
インドネシア BEVを現(xiàn)地生産している主な企業(yè)
現(xiàn)代自動(dòng)車(韓國)2022年よりEVセダンを生産
五菱汽車(中國)2022年より小型EV生産
東風(fēng)小康汽車/DFSK(中國)2023年より小型商用EV生産

今後BEVを現(xiàn)地生産予定の主な企業(yè)
三菱自動(dòng)車(日本):2024年より小型商用EV生産
VKTRテクノロギ?モビリタス(インドネシア):2027年~
目標(biāo):2035年までにBEVを100萬臺生産
主な優(yōu)遇措置
?投資金額により一定期間法人稅の免稅を付與
?タックスアローワンス:課稅対象の純収益総額の30%減額(3年間)
?EVの非完全組み立て生産(IKD)部品の関稅を免除
ベトナム BEVを現(xiàn)地生産している主な企業(yè)
ビンファスト(ベトナム):2022年1月にガソリン車の生産を停止すると発表し、同年半ばからEV生産に一本化

今後BEVを現(xiàn)地生産予定の主な企業(yè)
BYD (中國)
目標(biāo):2040年に年350萬臺、2050年に年400萬~450萬臺のEV生産(ベトナム自動(dòng)車工業(yè)會EV化推進(jìn)ロードマップ)
主な優(yōu)遇措置
?自動(dòng)車や主要部品の製造に対しては、法人稅の減免措置が適用される可能性
?2022年3月からEV購入時(shí)の特別消費(fèi)稅と自動(dòng)車登録料の減免措置を?qū)?br /> 備考:2025年から2040年にかけてガソリンや石油を燃料とする自動(dòng)車、バイク、モペットの製造、組み立て、輸入を全て停止
マレーシア BEVを現(xiàn)地生産している主な企業(yè)
ボルボ(スウェーデン/中國)2021年からSUV(スポーツ用多目的車)を組み立て生産
メルセデス?ベンツ(ドイツ)2023年2月から高級セダン「EQS」の現(xiàn)地生産を開始

今後BEVを現(xiàn)地生産予定の主な企業(yè)
長城汽車(中國):2023年より生産開始予定
鯊灣科技/ブルーシャーク(中國)2023年~
タムレブ(米國)時(shí)期未定
目標(biāo):新車販売臺數(shù)に占めるEV割合を2030年までに15%、2040年までに38%に高める
主な優(yōu)遇措置
?國內(nèi)組み立て(CKD)EVの物品稅と売上稅免除(2025年末まで)
?EV組み立てのために輸入する部品の関稅を免除(2027年末まで)
フィリピン BEVを現(xiàn)地生産している主な企業(yè)(三輪など含む)
ビーマック(日本)電動(dòng)トライシクル生産
エンプラス(韓國)中型公共交通車両(ジプニー)など生産

今後BEVを現(xiàn)地生産予定の主な企業(yè)
BYD (中國) フィリピンでの生産を検討中と報(bào)道
目標(biāo):2030年までに総車両臺數(shù)のうち21%をEV(電動(dòng)三輪など含む)とする
主な優(yōu)遇措置
?暫定的に2023年から5年間、電気自動(dòng)車(EV)の輸入関稅を撤廃。ただし、ハイブリッド車は免稅対象外
?部品生産などに対して、稅制などの優(yōu)遇措置を付與
カンボジア 今後BEVを現(xiàn)地生産予定の主な企業(yè)(三輪など含む)
オニオン?モビリティ(シンガポール)2023年に電動(dòng)トゥクトゥクの生産開始を予定、四輪も計(jì)畫
マトリックス?テクノロジー(中國)EV工場設(shè)立予定
目標(biāo):2050年までに二輪は70%、四輪は40%をBEVとする
主な優(yōu)遇措置
?EVの輸入やEV充電キオスクの増?jiān)O(shè)にインセンティブを與える計(jì)畫
ラオス BEVを現(xiàn)地生産している主な企業(yè)(三輪など含む)
コラオ(韓國)電動(dòng)トゥクトゥク生産
目標(biāo):2025年までに全自動(dòng)車の1%、2030年までに30%をEVとする
主な優(yōu)遇措置
?投資奨勵(lì)法ではハイテク、環(huán)境親和型産業(yè)として最大10年間の法人稅免除。経済特區(qū)內(nèi)では10年間の法人稅免除およびその後8年間は8%固定。個(gè)人所得稅、配當(dāng)稅、売上稅、物品稅、VATの減稅もしくは免除(SEZにより個(gè)別に規(guī)定)
インド BEVを現(xiàn)地生産している主な企業(yè)
タタ(インド)四輪EV(乗用車)生産
MG(中國)四輪EV(乗用車)生産
現(xiàn)代自動(dòng)車(韓國)四輪EV(乗用車)生産

今後BEVを現(xiàn)地生産予定の主な企業(yè)
マルチ?スズキ(日本) 2025年BEV生産開始予定
マヒンドラ&マヒンドラ(インド) 2022年発表
目標(biāo):2030年の新車販売臺數(shù)に占めるEVの割合を乗用車で30%、商用車で70%、自動(dòng)二輪?三輪車で80%とする
優(yōu)遇対象
(1)生産連動(dòng)型優(yōu)遇策(PLI):EV?最先端部品、先端化學(xué)?セル電池
(2)半導(dǎo)體ミッション:半導(dǎo)體?ディスプレー
主な優(yōu)遇措置
(1)対象製品の工場新設(shè)企業(yè)が要件を満たした場合、対象製品の売上高増加分の一定割合(例:EV完成車13~16%、最先端部品8~11%、電池はエネルギー密度に基づく定額単価)が生産開始年の翌年から5年間にわたり補(bǔ)助金として支払われる
(2)対象製品の工場新設(shè)企業(yè)に対して、設(shè)備投資コストの50%を上限に補(bǔ)助金を支払う

出所:運(yùn)輸省など各國の管轄當(dāng)局?機(jī)関の公表情報(bào)を基にジェトロ作成(2023年3月時(shí)點(diǎn))

貿(mào)易統(tǒng)計(jì)からも、中國製EVがAPAC各國に流入していることが見てとれる。例えば、中國の貿(mào)易統(tǒng)計(jì)を四半期ごとにみてみると、特にタイ、オーストラリア、ニュージーランド向けの「電気駆動(dòng)の車両(BEV)」(注4)の輸出額が、2022年第3四半期(7~9月)から急拡大している(図1參照)。

図1:中國の電気駆動(dòng)車両の輸出額推移
中國の貿(mào)易統(tǒng)計(jì)を四半期ごとにみてみると、特にタイ、オーストラリア、ニュージーランド向けの「電気駆動(dòng)の車両(BEV)」の輸出額が、2022年第3四半期(7~9月)から急拡大している。

注:HS8703.80.00。ただし、ゴーカートなども含む。
出所:Global Trade Atlasから作成

輸入側(cè)の貿(mào)易統(tǒng)計(jì)でも、中國からのEV輸入急増が確認(rèn)できる。例えばタイの貿(mào)易統(tǒng)計(jì)をみると、2023年第1四半期(1~3月)に輸入された電気駆動(dòng)車両(HS8703.80、BEV)は、5億8,300萬ドル。前年同期比で11倍に拡大した。さらに詳細(xì)をみると、ワゴン/SUV型EV(注5)が5億3,900萬ドルと92.5%を占め、セダン型EV(注6)が4,200萬ドルと7.2%を占める。同2品目を合算して推移を示したのが図2だ。この2品目は、2022年第3四半期から、急速に輸入が拡大した。その中には、ドイツや日本などからの輸入も一部に含まれてはいる。しかし、2023年第1四半期について言うと、中國からの輸入が約97%を占めた。

図2:タイのセダン型EVとワゴン/SUV型EVの輸入額推移(國別)
タイの貿(mào)易統(tǒng)計(jì)をみると、2023年第1四半期(1~3月)に輸入された電気駆動(dòng)車両(HS8703.80、BEV)は5億8,300萬ドルと、前年同期比11倍に拡大している。品目の詳細(xì)をみると、ワゴン/SUV型EV(注5)が5億3,900萬ドルと92.5%を占め、セダン型EV(注6)が4,200萬ドルと7.2%を占める。この2品目は、2022年第3四半期から急速に輸入が拡大しており、2023年第1四半期では、一部ドイツや日本などからの輸入も含まれているが、中國からの輸入が約97%を占めている。

注:非CKDのセダン型EV(HS8703.80.97)、ワゴン/SUV型EV(HS8703.80.98)の合計(jì)。
出所:Global Trade Atlasから作成

輸出ハブになれるかは中國メーカーの意向がカギ

このように、中國製BEVはAPACの各國市場を席巻している。

もっとも、各國政府が最も期待するのは、將來的な現(xiàn)地生産だ。目下、確かに販売?普及に優(yōu)遇措置が講じられている。しかし、あくまでも時(shí)限的措置で、その後は現(xiàn)地生産と輸出を拡大し、現(xiàn)地雇用を生み出したいというのが本音だろう。タイを例にとると、政府はEV普及振興策として、BEVへの販売補(bǔ)助金、物品稅減免といった施策を?qū)毪筏皮い耄?a >2023年4月25日付地域?分析レポート參照)。2024年以降の將來的な現(xiàn)地生産を條件として、1臺あたり7萬~15萬バーツの補(bǔ)助金を支給している。

タイ政府には、(1)まずはBEVの國內(nèi)販売を奨勵(lì)し、自國市場にBEVを普及させて市場?産業(yè)を形成する、(2)その後は、國內(nèi)でのBEV生産を拡大し、その後、輸出を拡大させて「アジアのBEVの輸出ハブ」としての地位を確立したい、という思惑がある。実際、タイ政府の誘致政策に呼応し、上海汽車、長城汽車、BYD、長安汽車といった中國メーカーは、タイでのBEV生産を開始するプログラムに呼応し、現(xiàn)地生産に向けた準(zhǔn)備を進(jìn)めている。

従來の內(nèi)燃エンジン(ICE)自動(dòng)車産業(yè)で、タイは「アジアのデトロイト」の異名をとる。當(dāng)?shù)丐巧bされた自動(dòng)車は、ピックアップトラックを中心にその半數(shù)以上が輸出に回る。その輸出先市場として大きいのは、東南アジアやオーストラリアなどだ。

では、BEVでもこれに追隨できるのか。望みはある。中國メーカーの発表をみると、タイ政府の期待に応え、國內(nèi)市場だけでなく輸出を念頭に生産工場を建設(shè)するケースが多いためだ。

しかし、現(xiàn)狀では、中國からAPAC各地へのBEV輸出が増加している。後発になるタイ製BEVが各國でどれだけ市場を獲得できるのか、不透明な部分もある。タイが輸出先として期待するAPAC各國では、すでに中國メーカーが現(xiàn)地生産を開始済み、あるいは生産計(jì)畫を進(jìn)めているケースも多い。また、ASEAN各國では、中國からのBEVにFTAで関稅を免除(注7)していることも大きい。本來、タイは同じASEANということから関稅面で優(yōu)位に立てそうなものなのに、そうでもないということになる。オーストラリアは中國と二國間FTAがあり、中國製EVの関稅をやはり免除している。將來的にタイ工場から輸出する何らかのメリットを発揮できないと、タイでのBEV生産は期待するほど増えないかもしれない。

APAC地域でのEVサプライチェーンは、今後、どうとらえていくべきなのか。これを考える上では、各中國メーカーがどのような思惑で拠點(diǎn)立地?分業(yè)?サプライチェーンを構(gòu)築し、將來的にどのような青寫真を描いているのか、注意深く探る必要があるだろう。


注1:
オーストラリア電気自動(dòng)車協(xié)會PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(4.7MB)(ECV)による。
注2:
愛知県バンコク産業(yè)情報(bào)センター資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(725KB)による。
注3:
タイ工業(yè)連盟(FTI)資料では、2022年の四輪BEV新規(guī)登録臺數(shù)は9,644臺(2023年2月2日付ビジネス短信參照)。
注4:
HS8703.80.00。ただし、ゴーカートなども含む。
注5:
HS8703.80.98。完全ノックダウン組立(CKD)でないもの。
注6:
HS8703.80.97。完全ノックダウン組立(CKD)でないもの。
注7:
ASEAN中國FTA(ACFTA)により、関稅が免除されている。

執(zhí)筆者紹介
ジェトロ?バンコク事務(wù)所
北見 創(chuàng)(きたみ そう)
2009年、ジェトロ入構(gòu)。海外調(diào)査部アジア大洋州課、大阪本部、ジェトロ?カラチ事務(wù)所、アジア大洋州課リサーチ?マネージャーを経て、2020年11月からジェトロ?バンコク事務(wù)所で広域調(diào)査員(アジア)として勤務(wù)。